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世界遺産検定2級合格の練習問題&解説【基礎知識 ⑤|真正性と完全性】

こちらでは、NPO法人世界遺産アカデミーの「世界遺産検定2級」の合格60点に向けて、「基礎知識」について練習問題と解説で必要な情報を紹介していますので、ご活用頂ければ幸いです。(※練習問題は過去問題を参考に作成しています。)

日本の世界遺産」に関してはこちら ご覧ください。 

 

世界遺産検定2級合格ー基礎知識 ⑤:真正性と完全性

◆ 学習のポイント

世界遺産に求められる「顕著な普遍的価値」には、真正性と完全性を満たしていることが必要です。ここでの学習のポイントは、真正性完全性を理解することです。

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基礎知識⑤の練習問題

1⃣ 1964年に採択された憲章で真正性の概念を示したものとして、正しいものはどれか。

 

国連憲章
ユネスコ憲章
アテネ憲章
ヴェネツィア憲章

【難易度:低】 

 

 

2⃣ 文化遺産に求めれる概念である「真正性」の説明として、正しいものはどれか。

 

保有国の法律などで、遺産を保護する仕組みが構築されていること
建造物や景観などがそれぞれの文化的景観の独自性や伝統を継承していること
建造物の保存や修復に関し、ハーグ条約において示された方針を継承している
世界遺産の顕著な普遍的価値を構成するために必要な要素が全て揃っている

【難易度:高】 

 

 

3⃣ 完全性の説明として、正しいものはどれか。

 

一度も修復・再建された歴史がなく、当初の姿を完全に留めていること
顕著な普遍的価値を構成するために必要な要素が全て揃っていること
それぞれの文化的背景の独自性や伝統を完全に継承していること
有形と無形の双方の文化が完全に兼ね備えていること

【難易度:中】 

 

 

練習問題の解説 

▶ 真正性(本物か否か)

真正性は、文化遺産に求められる概念で、創建時の独自性伝統を継承していることと、1964年のヴェネツィア憲章に基づき、修理の際は創建時の材料、構造、工法などを尊重しなければなりません。

西欧の堅牢なの文化は、遺産が時代を経ても大きく変化しにくいので、建造された当時の状態がそのまま維持・保存されていることが重視されていました。

しかし、日本アフリカなどの木や土の文化には必ずしも対応していなかった。

1994に「真正性に関する奈良会議」が奈良市で開催され、日本主導の「奈良文書」が採択された。

 

(奈良文書)

遺産の保存は地理や気候、環境などの自然条件と、文化・歴史的背景などとの関係の中ですべきである」とされた。

⇒ 日本の場合、日本の気候風土や文化・歴史の中で営まれてきた保存技術や修復方法でのみ真正性を担保できる。その文化ごとの真正性が保証される限りは、遺産の解体修理や再建などが可能である。

具体的には、木造建築などでは、建材が新しいものに取り替えられても、伝統的な工法・機能などが維持されていれば、真正性が認められる。

 

◆ 遺産の解体修理や再建のエピソード

名古屋城は戦時中の空襲などで焼けた後、伝統的な素材ではなくコンクリート鉄筋などで再建されたため、真正性の点で世界遺産リストへの記載は難しいです。

一方、『姫路城』の「昭和の大修理(1956年)」や「平成の大修理(2009年)」では、遺産の解体修理や再建においては真正性担保されている点、「17世紀の建造物」として評価され世界遺産に登録されています。

第二次世界大戦ナチス・ドイツに徹底的に破壊され、都市全体再建・復旧したポーランド共和国の『ワルシャワの歴史地区』については、「壁のヒビ割れまで忠実に再現する」との意気込みで再建・復旧されたものの、真正性の解釈に波紋を残し、ワルシャワの登録と引き換えに、第二次大戦後に再建されたほかのヨーロッパ都市は登録対象としないことが決められた事例です。

つまり一度ゼロになったものは、基本的には世界遺産になれないのです。

 

完全性

全ての文化遺産自然遺産に求められる概念です。

世界遺産の価値を構成する要素が全て含まれ、長期的保護のための法律などの保全体制が確保されているかを求められます。

完全性の条件は以下の3点です。

・ 顕著な普遍的価値が発揮されるのに必要な要素がすべて含まれているか。

・ 資産の重要性を示す特徴を不足なく代表するために適切な大きさが確保されているか。

・ 開発あるいは管理放棄による負の影響を受けているか。

 

文化遺産では、遺産の劣化がコントロールされていること、生きた遺産の特徴や機能が維持されていることなどが求められます。自然遺産では、適切な広さを有して、開発などの影響を受けずに、自然が持つ本来の姿が保たれていることなどが求まれれます。

遺産の長期的な保護・保全体制法律面で捉えると、文化遺産では文化財保護法で「国宝」か最低でも「国の指定重要文化財」、自然遺産では自然公園法で「国立公園」「国定公園」や都市計画法で「国営公園」に指定する必要があります。これ以外に、予算(お金)、人材(専門家)、保全計画なども必要になります。

 

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終わり

世界遺産は、過去から現在へと引き継がれてきたかけがいのない人類共通の財産です。そんな世界遺産を未来へ引き継ぐために、世界遺産を学び理解を深めたいものです。

近年、世界遺産を巡る旅が注目される中、世界遺産の知識があれば旅の楽しみも倍増です。

2020年にNPO法人世界遺産アカデミーの「世界遺産検定2級」を受験し一発合格しました。次は1級受験を目指し、その対策をブログで紹介して行きます。

初めに2級試験対策の振り返りながら、1級試験対策を掲載予定です。

市販の過去問題やテキストなどを参考に練習問題を作成していますので、高得点や合格確実を目指している方は、他のサイトなども合わせて参考にされることをお勧めします。

また、世界遺産にご興味を持って頂けるような記事も書いて行きますので、ご関心がありましたら、ご一緒に取り組んで頂けると嬉しいです。

 

最後までご覧くださいましてありがとうございました。
次回もよろしくです。

 

▶ 学習に便利な書籍紹介  

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世界遺産検定1・2級公式過去問題集<2020年度版>

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くわしく学ぶ世界遺産300 世界遺産検定2級公式テキスト<第3版>

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世界遺産検定2級の出題割合(問題数60問、試験時間60分間)

・基礎知識:20% ・日本の世界遺産(23件):25% ・世界の文化遺産:35% ・世界の自然遺産 ・時事ネタ:10% (※世界の文化・自然遺産の出題範囲は300件が対象です)

初めに基礎知識日本の世界遺産23件を着実に習得して、時事ネタ(試験6ゕ月前からの新聞・ニュースなど参照)も合わせながら、全体の55%を獲得できる知識を身に着けることで、確実に合格圏内に近づきます。頑張れば1ゕ月程で試験対策ができます。